京都府福知山市にある「おとのもり保育園」。
豊かな自然の中で、子ども一人ひとりの成長を大切にしながら、
保護者や先生たちにとっても安心できる環境づくりに取り組まれています。
今回は園長の佐金美弥子さんに、
カシカンの活用体験や絵本に関するコミュニケーションについてお話を伺いました。
おとのもり保育園の特色
鵜飼
本日はインタビューにお時間をいただき、
ありがとうございます。
佐金
よろしくお願いします。
鵜飼
佐金さんは福知山市のおとのもり保育園の園長さんですね。
僕も京都で働いてるんで、これもご縁ということで、
お互い気楽にお話しましょう。
佐金
そうなんですね!
ぜひまた福知山の方にも来てください。
海の幸が美味しいんで。
鵜飼
最初に、おとのもり保育園の特色や
力を入れているポイントは何でしょうか?
佐金
そうですね。
小規模園全体の特色でもありますが、
やっぱり0、1、2歳の手厚い保育ですね。
国の基準では0歳児は子ども3人に対して
保育士1人と決まっています。
小規模園についてはプラス1の配置があるので、
より手厚くできるんです。
鵜飼
そういう違いがあるんですね。知りませんでした。
佐金
家庭的な雰囲気の中で、
大事な生活習慣を身につけることができます。
幼児期にしっかり手厚くすることで
お子さんがぐっと成長しますね。
鵜飼
なるほど。
佐金
あと、先生たちの労働改革にも力を入れてます。
私の考え方としては、家庭が第一、次がプライベート、
仕事が三番目という感じで先生たちに伝えています。
鵜飼
素晴らしい考え方ですね。
佐金
それくらい子どもたちの情操教育をする上で、
先生たちの心の豊かさや見聞を広げることが
大切だと思っていますね。
鵜飼
保育園や幼稚園の先生たちの忙しさってたまに耳にします。
確かに、教育の上で教える側の余裕って重要な要素ですね
佐金
あとICT(情報通信技術)もフルスペックで使っています。
少しずつICTを導入していく園が多いとは思いますが、
うちは最初から全部導入してるので、その点も違いますね。
鵜飼
すごいですね。
佐金
書類業務での疲れを減らして、
余裕ができた分で子どもたちの教育に集中できます。
良い保育をするためには、環境を整えることが重要なんです。
保育園による絵本の貸出しの課題
鵜飼
カシカンを導入する前から、
絵本の貸し出しサービスの導入を検討されていたんですか?
佐金
そうですね。私自身の実家が本屋だったので、
開園当時から図書を取り入れたくて。
鵜飼
なるほど。
佐金
私も昔、現役の保育士だったころに
図書係をやってたんですよね。
それこそ画用紙を何百枚も切って、
印刷機にかけてカードを作って。
無くなったらまた同じものを作り直す。
そんな図書係でした。
鵜飼
むっちゃ大変ですね。
佐金
本の登録もISBN番号とか全部エクセルで
直接ガンガン入れて管理してたんです。
そこで今回最初は本をバーコードで読み取る
サービスを使おうと思ってたんですが、
調べたらコストが結構かかって。
最初はスモールスタートでいきたかったんですよ。
鵜飼
こういうシステムは高いものが多いですもんね。
佐金
そこでいろいろ調べていくうちにカシカンを見つけたんです。
カシカンの説明を読むと「これでいけるやん」と思って。
トライアンドエラーでやってみて、
ダメだったらまた考えようかって。
鵜飼
そのタイミングで知ってくれはったんですね。
佐金
結果、カシカンを導入したら
「これ、めちゃくちゃ楽やん」ってなって。
サービスも低下どころか向上するみたいなね。
ほんまにそれはすごいよかったなって思います。
鵜飼
ありがとうございます。
佐金
利用してから二年かな。
最初は手間取ることもあったんですけど、
結果的にバーコードリーダーもいらんし、
QRコードをスマホで読み取ったらええし、
慣れてしまえばむちゃくちゃ楽にできるようになりました。
絵本担当の先生たちには処遇改善もつけれるし。
めちゃくちゃいい感じになっています。
保護者さんたちからの反応
鵜飼
カシカンで絵本の貸出しをはじめて、
保護者さんたちからの反応ってありました?
佐金
そうですね。
スマホで完結するのが今の保護者さんたちにも合ってるし、
シンプルで本当に使いやすいと思っています。
鵜飼
当たり前ですが保護者さんたちもスマホを使っているし、
お店で使うのとかももう浸透してるから、
そもそもスマホ操作には慣れてはりますもんね。
佐金
ね。うちの園では来年度の入園が決まるときに、
玄関にアプリをダウンロードするQRコードを
貼ったり配布したりしていますね。
鵜飼
なるほど。
佐金
保護者さんへの説明会でもその反応を見ていますが、
すごくいい感触です。
使い方を聞いてくる人も今までいなかったんです。
鵜飼
そうなんですか? それはとても嬉しいですね。
佐金
そうそう。
鵜飼
ありがとうございます。
佐金
本を登録すると、
あらすじとかおすすめのワードが入るのもいいですよね。
将来的には例えば大型絵本とか、おままごとセットとか、
その辺も貸し借りできたらいいなって思ってます。
鵜飼
本以外の物でもなんでも登録できますしね。
佐金
でも、たぶん他やとまだまだアナログやったりしますしね。
卒園された子の保護者さんがびっくりしはることもあります。
鵜飼
保育園だけじゃなくて、
教育関係はまだアナログな世界なんですかね。
佐金
そもそも借りる図書がないとかね。うちは働き方改革で
先生たちの働き方を楽にしたいからってことで、
IOT(インターネット・オブ・シングス)やICTを
意識してるんです。
だからこの時代に合ってると思います。
絵本を借りる手軽さ
佐金
うちは絵本袋を借りる子たちそれぞれに渡して、
借りる子たちはカシカンで登録したものを
絵本袋に入れて持って帰るんですよ。
返す時も絵本袋の中に入れて持ってきてくれる。
鵜飼
いい取り組みですね。
佐金
カゴとかに入れてる園もあると思うんですけど、
うちは個人の袋に入れて持って帰る。
それが結構ワクワクして喜ばれるんです。
鵜飼
なるほど。
そこで「自分の物だ」という特別感が出るんですね。
佐金
そうなんです。
うちは月二回、夕方に借りる日を設定して、
ボックスとか絨毯ひいて貸し出す本を並べるんです。
保護者さんのお迎えの時間にアプリでQRコードを読み込んで、
パパッと簡単に借りられるようにしています。
鵜飼
なるほど。
佐金
保護者さんたちは働いてはる方が多いので、
お迎えの時間も忙しかったりします。
そこでQRコードをアプリ読み込んでパパパッと
簡単に借りられる感じです。
鵜飼
その貸し出す時って、
担当の先生がその場にいるんじゃなくて、
完全に自由にやってもらってるって感じなんですかね。
佐金
ほとんどもうほったらかしです。
年度の最初は担当の先生がついて、
分からなかったら「こういう風にするんですよ」って
フォローするだけですね。
鵜飼
すごいですね。
やり方さえ分かってしまえばって感じですかね。
佐金
うん、そうですね。
鵜飼
その取り組みはいいな。先生の手間も楽ですしね。
実際に僕も現場でどう使われてるかが
まだ見えてないところがあって。
そういうのが聞けてすごくありがたいですね。
佐金
めっちゃいいですよ。
ユーザーさんそれぞれがいろいろ工夫してると思いますけど、
想像されてるよりもいいと思います。
物としての絵本の価値にみんな気づいている
鵜飼
保護者さんたちはみなさん
園内の絵本の貸出をよく利用されるんですか?
佐金
今の子どもたちはデジタルで育ってるでしょ。
だからアナログなものって、
保護者も子どももすごく貴重に思うんですよね。
鵜飼
確かにその感じちょっとわかります。
改めて物体としての物の良さとか、
貴重な感じが伝わりますよね。
佐金
そうなんです。
例えばヒノキの木でできた積み木ってなると、
それだけでプレミア感が出たりとか。
本もしっかりした昔から読んでたようなものとか。
アナログなものを大事にする傾向があって、
本はすごく大事にしてはります。
鵜飼
僕は以前に本屋で働いてたんですけど、
絵本まわりの話を聞いたとき、
僕らが子どもの頃とはちょっと感覚が違うなって感じました。
佐金
質感とか匂いとか。
それこそ昔のリバイバルで出たような本とかを
すごく大事にしてる気がします。
絵本自体の価値が上がってる、そんな気がします。
鵜飼
本の価値はみんな知っているけれど、
同時にいっぱい買う時代でもないと思うんですよ。
だから「借りて読む」という価値も変わりはじめていますね。
佐金
うん、そうですね。
だから図書館とかも結構身近で、
絵本の読み聞かせとか図書館のイベントに行ったりとかね。
図書館も園も両方利用する保護者さんも多いですね。
鵜飼
なるほど。
今回はお話を聞けてとても嬉しかったです。
ありがとうございました。
おとのもり保育園の取り組みについて、現場の声が伝わり興味深いお話をたくさん伺うことができました。ICTを活用して業務を効率化し、先生方の負担を軽減することで、子どもたちへの教育の質を向上させるという実践は、これからの教育現場において理想的な変化だと強く感じました。また、カシカンの利用についても、保護者の方々がスムーズに活用されていると伺い、大変嬉しく思います。子どもたちが絵本の楽しさに触れる機会をさらに増やせるよう、今後もサービスの充実に努めてまいります。