はじめに
こども家庭庁は、「令和7年教育・保育施設等における事故報告集計」を公表しました。これは、令和7年1月1日から12月31日までに国へ第1報の報告があった、教育・保育施設等での死亡事故、意識不明事故、治療に要する期間が30日以上の負傷や疾病を伴う重篤な事故を集計したものです。
今回の集計では、報告件数は3,130件で、前年より61件減少しました。内訳は、負傷等が3,129件、死亡が1件です。負傷等のうち骨折は2,533件で81.0%を占めており、最も多い事故類型となっています。
(令和7年教育・保育施設等における事故報告集計-p.2)
(令和7年教育・保育施設等における事故報告集計-p.2)
事故報告は3,130件、負傷等が大半
今回の集計によると、令和7年に国へ報告があった事故は3,130件でした。前年差は61件減です。
(令和7年教育・保育施設等における事故報告集計-p.2)
(令和7年教育・保育施設等における事故報告集計-p.2)
内訳は以下のとおりです。
- 負傷等:3,129件
- 死亡:1件
- 意識不明:19件
- 骨折:2,533件
- 火傷:1件
- その他:569件
負傷等の報告の大半は骨折で、全体の81.0%を占めています。こども家庭庁の集計でも、骨折事故が中心であることが分かります。
(① 死亡及び負傷等の事故概要-p.5)
(① 死亡及び負傷等の事故概要-p.5)
事故は「施設内」で多く、室外が半数
事故の発生場所を見ると、施設内が2,799件で全体の89%を占めています。さらに施設内事故の内訳では、室外が1,400件で、施設内事故の50%にあたります。
(③ 場所別-p.7)
(③ 場所別-p.7)
資料上は「施設内の室外」と整理されていますが、実態としては園庭や屋外スペースなど、建物の外側のエリアでの事故が多いことがうかがえます。
(③ 場所別-p.7)
(③ 場所別-p.7)
主な施設・事業別の件数は次のとおりです。
- 認可保育所:1,313件
- 放課後児童健全育成事業:776件
- 幼保連携型認定こども園:615件
- 保育所型認定こども園:158件
- 幼稚園:87件
(① 死亡及び負傷等の事故概要-p.5)
年齢別では、就学前から小学生以上まで幅広い
年齢別の集計では、事故発生時の満年齢ごとの件数が示されています。特に件数が多いのは、5歳(777件)、小学生以上(778件)、4歳(514件)などです。
(② 年齢別-p.6)
(② 年齢別-p.6)
施設・事業ごとに傾向は異なりますが、就学前の子どもから学童期まで、幅広い年齢層で事故が報告されています。
(② 年齢別-p.6)
(② 年齢別-p.6)
死亡事故は1件、放課後児童健全育成事業で発生
令和7年の集計で報告された死亡事故は1件でした。発生したのは放課後児童健全育成事業です。
(① 死亡及び負傷等の事故概要-p.5)
(① 死亡及び負傷等の事故概要-p.5)
主な死因は溺死で、発生時の状況はプール活動・水遊びでした。なお、死亡事故の集計には、第1報時点で「意識不明」とされ、その後の報告で「死亡」とされたものも含まれます。
(④ 死亡事故における主な死因-p.8)
(④ 死亡事故における主な死因-p.8)
事故報告制度は段階的に整備
資料では、事故報告制度の経緯もまとめられています。制度は、子ども・子育て支援新制度の施行に先立ち、平成26年に検討会が設置されたことを受け、平成27年4月に見直しが行われました。
(令和8年7月29日-p.1)
(令和8年7月29日-p.1)
主な見直しの内容は次の3点です。
- 報告対象となる施設・事業の拡大
- 重大事故の範囲の明確化
- 報告様式、報告方法の改正と明示
(令和8年7月29日-p.1)
その後も対象は広がり、
- 平成29年11月には、認可外保育施設のほか、子育て短期支援事業、一時預かり事業、病児保育事業、子育て援助活動支援事業についても自治体への報告が義務化
- 令和5年11月には、子育て世帯訪問支援事業、児童育成支援拠点事業についても報告義務が追加
といった整備が進められています。
(令和8年7月29日-p.1)
(令和8年7月29日-p.1)
事故防止策も継続して周知
こども家庭庁は、事故情報を「教育・保育施設等における事故情報データベース」として公表しています。あわせて、事故防止に向けた通知やガイドラインの周知も継続しています。
(令和8年7月29日-p.1)
(令和8年7月29日-p.1)
これまでの主な取組としては、以下が挙げられています。
- 事故防止及び事故発生時対応のためのガイドライン周知
- 睡眠中の事故防止に関する注意喚起
- プール活動・水遊び時の監視体制や応急手当の徹底
- 食品による窒息事故への注意喚起
- 送迎用バスの置き去り対策
- 園外活動時の見落とし防止
- 骨折事故防止に関する調査研究事業
(参考② 事故防止に係るこれまでの取組等-p.10) (○ 平成29年6月、プール活動・水遊びが始まる時期に合わせ、プール活動等を行う場合の適切な監-p.11) (<啓発資料>-p.12)
事故の類型に応じて、睡眠中、食事中、プール活動、バス送迎、園外活動など、場面別の対策が積み重ねられています。
(参考② 事故防止に係るこれまでの取組等-p.10)
(参考② 事故防止に係るこれまでの取組等-p.10)
施設・事業は多岐にわたる
今回の集計対象には、認定こども園、幼稚園、認可保育所、小規模保育事業、家庭的保育事業、居宅訪問型保育事業、放課後児童健全育成事業、認可外保育施設など、多様な施設・事業が含まれています。
(令和7年教育・保育施設等における事故報告集計-p.2)
(令和7年教育・保育施設等における事故報告集計-p.2)
参考として、利用するこどもの数や施設数も示されています。たとえば、
- 認可保育所:利用児童1,649,487人、21,241か所
- 放課後児童健全育成事業:利用児童1,570,645人、25,928か所
- 一時預かり事業:利用延べ人数3,904,026人、11,116か所
ただし、調査時点や集計期間が異なる項目もあるため、単純な件数比較には注意が必要です。
((利用するこどもの数) ※集計を行っているものに限る。-p.3) ((施設・事業数) ※集計を行っているものに限る。-p.4)
((利用するこどもの数) ※集計を行っているものに限る。-p.3) ((施設・事業数) ※集計を行っているものに限る。-p.4)
まとめ
こども家庭庁の「令和7年教育・保育施設等における事故報告集計」では、報告件数3,130件、うち負傷等3,129件、死亡1件でした。特に骨折が2,533件で、負傷等の81.0%を占めています。
(令和7年教育・保育施設等における事故報告集計-p.2)
(令和7年教育・保育施設等における事故報告集計-p.2)
事故は施設内で多く発生し、その中でも施設内の室外が半数を占めました。死亡事故は放課後児童健全育成事業で1件、主な死因は溺死、発生時の状況はプール活動・水遊びでした。
(③ 場所別-p.7) (④ 死亡事故における主な死因-p.8)
(③ 場所別-p.7) (④ 死亡事故における主な死因-p.8)
制度面では、報告対象の拡大や報告義務の整備が進められており、事故情報はデータベースでも公表されています。教育・保育施設等の安全対策を考えるうえで、今回の集計は、現場での継続的な点検と予防策の重要性をあらためて示す内容といえます。
(令和8年7月29日-p.1)
(令和8年7月29日-p.1)

