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こども家庭庁のデジタル人材確保・育成計画を読み解く――外部人材の活用と庁内育成を両輪にDXを推進

こども家庭庁のデジタル人材確保・育成計画を読み解く――外部人材の活用と庁内育成を両輪にDXを推進

はじめに

こども・子育て政策を取り巻く課題は、社会環境の変化やデジタル技術の進展に伴い、複雑化・多様化しています。こうした課題に対応するには、情報システムを整備するだけでなく、業務改革(BPR)、データ利活用、サイバーセキュリティ対策を一体的に進める人材が必要です。(こども家庭庁デジタル人材確保・育成計画(概要版)-p.1)
こども家庭庁は、デジタル化の基盤となる人材を計画的に確保・育成するため、「こども家庭庁デジタル人材確保・育成計画」を策定しています。計画は令和5年9月29日に制定され、令和7年9月30日に改定されました。(こども家庭庁デジタル人材確保・育成計画(概要版)-p.1)
今回の計画は、情報システムやセキュリティの専門人材を確保するだけでなく、外部人材を活用しながら、庁内の職員が実務経験を積み、組織全体のデジタル対応力を高める方針を示しています。(こども家庭庁デジタル人材確保・育成計画(概要版)-p.1)

デジタル人材が必要とされる背景

こども家庭庁は、こどもやこどものいる家庭の福祉・保健の充実、子育て支援、こどもの権利利益の擁護などを担っています。(こども家庭庁デジタル人材確保・育成計画(概要版)-p.2)
計画では、こども・子育て政策におけるデジタル技術の活用に関連して、次のような分野が挙げられています。(こども家庭庁デジタル人材確保・育成計画(概要版)-p.1)
  • デジタルトランスフォーメーション(DX)
  • 業務改革(BPR)
  • データ利活用
  • 情報システムの開発・運用
  • サイバーセキュリティ対策
ここでいうデジタル人材は、システム開発やセキュリティを専門とする職員だけに限られません。計画が対象とする業務領域から見ると、業務を見直すDX・BPR担当者や、政策分野でデータを活用する職員なども含む、幅広い人材像が想定されています。

現状の課題は人材の確保と知識の定着

計画は、令和7年度時点のデジタル人材の確保・育成状況について、「必ずしも十分とは言えない」と整理しています。(こども家庭庁デジタル人材確保・育成計画(概要版)-p.1)
その背景の一つとして挙げられているのが、こども家庭庁の人員構成です。こども家庭庁は発足後も、多数の他府省庁などからの出向者で構成されています。(こども家庭庁デジタル人材確保・育成計画(概要版)-p.2)
出向者は数年間の出向期間を終えると、出向元へ戻ることになります。そのため、こども家庭庁で得られた知識や経験、業務上のノウハウを、組織の資産として定着させにくいという課題があります。(こども家庭庁デジタル人材確保・育成計画(概要版)-p.2)
この課題に対し、計画は次の二つを並行して進める方針を示しています。(こども家庭庁デジタル人材確保・育成計画(概要版)-p.2)
  1. 中途採用や任期付職員などにより、外部から必要な知識・経験を持つ人材を確保する
  2. 新規採用職員が実務経験を積める機会を確保し、庁内で継続的に人材を育成する
当面は、専門人材を一挙に増やすことだけを目指すのではなく、基本的な体制整備と基礎的能力の育成に重点を置く考えです。(こども家庭庁デジタル人材確保・育成計画(概要版)-p.2)

体制整備と人材拡充の方針

こども家庭庁は、情報通信技術と情報セキュリティを統括する長官官房総務課や、社会的な影響の大きい情報システムを所管する各部局について、必要な体制を整える方針です。(こども家庭庁デジタル人材確保・育成計画(概要版)-p.1)
情報システムの整備やサイバーセキュリティ対策の必要性を踏まえ、必要に応じて機構・定員要求を行うとしています。(こども家庭庁デジタル人材確保・育成計画(概要版)-p.2)
また、情報システム部門だけでなく、「こども政策DX」の推進、庁内のBPR、こども政策におけるデータ利活用を担う部局でも、必要な人材を活用できるようにする考えです。(こども家庭庁デジタル人材確保・育成計画(概要版)-p.2)
ただし、概要版では、具体的な増員数やデジタル人材の不足人数までは示されていません。確認できるのは、必要性に応じて機構・定員要求を行うという方針です。(こども家庭庁デジタル人材確保・育成計画(概要版)-p.2)

短期は外部人材、中長期は庁内育成

短期:中途採用・任期付職員を活用

短期的には、中途採用や、情報・セキュリティに関する知識・経験を持つ任期付職員などの採用によって対応します。(こども家庭庁デジタル人材確保・育成計画(概要版)-p.2)
すでに専門的な知識や実務経験を持つ人材を確保することで、情報システムやセキュリティ対策など、早期の体制整備が求められる分野に対応する方針です。
なお、概要版では、採用人数や募集時期、具体的な採用条件までは示されていません。

中長期:新規採用職員の実務経験を確保

中長期的には、外部人材の活用に加えて、新規採用職員が採用後に実務経験を積める環境を整える方針です。(こども家庭庁デジタル人材確保・育成計画(概要版)-p.3)
出向者に依存する体制では、出向者が戻った後に知識やノウハウを組織に定着させにくいという課題があります。そこで、庁内の職員が情報システム、DX、セキュリティなどの業務を経験し、組織内で継続的に人材を育成・確保することを目指しています。(こども家庭庁デジタル人材確保・育成計画(概要版)-p.3)

研修は毎年延べ10人以上の受講を目指す

こども家庭庁は、情報・セキュリティ部門の職員だけでなく、各部局の一般職員についても、デジタル庁が用意する政府デジタル人材候補者向け研修を活用する方針です。(こども家庭庁デジタル人材確保・育成計画(概要版)-p.3)
この研修について、毎年、延べ10人以上の受講を目指すとしています。(こども家庭庁デジタル人材確保・育成計画(概要版)-p.3)
セキュリティ対策については、国家サイバー統括室(NCO)が行うCSIRT要員向け研修などへの担当者の参加を目指します。さらに、セキュリティ分野に限らず、デジタル全般に関する研修も取り入れ、幅広いスキルを身につけられるようにする考えです。(こども家庭庁デジタル人材確保・育成計画(概要版)-p.3)
計画では、研修を受講して終わりにするのではなく、得られた成果を業務に活用できるようフォローする方針も示しています。(こども家庭庁デジタル人材確保・育成計画(概要版)-p.3)
一方、概要版だけでは、研修の具体的な科目、受講者の内訳、受講後の評価方法、これまでの受講実績までは分かりません。現時点で確認できるのは、延べ10人以上という目標と、研修成果を業務につなげる方針です。

基礎から専門性へ広がるキャリアパス

計画には、こども家庭庁に採用された職員が、情報システムやサイバーセキュリティに関する経験を段階的に積むキャリアパスの一例も示されています。(こども家庭庁デジタル人材確保・育成計画(概要版)-p.3)

採用・係員

採用後から5~10年目頃までは、情報システムやセキュリティに関する基礎研修を受ける段階です。(こども家庭庁デジタル人材確保・育成計画(概要版)-p.3)
主な配属先として、長官官房総務課の次の係が想定されています。(こども家庭庁デジタル人材確保・育成計画(概要版)-p.3)
  • 情報システム係
  • 情報セキュリティ係
  • DX企画調整係
  • 制度レジストリ係
庁内の他部局でシステムを保有する業務を経験することや、デジタル庁、NCOなどの関係府省庁・機関への出向も想定されています。(こども家庭庁デジタル人材確保・育成計画(概要版)-p.3)

係長クラス

5~10年目から、おおむね10~20年目までの係長クラスでは、より実務的な能力を高めます。(こども家庭庁デジタル人材確保・育成計画(概要版)-p.3)
研修内容として、次のような分野が挙げられています。(こども家庭庁デジタル人材確保・育成計画(概要版)-p.3)
  • プロジェクト管理
  • システム調達
  • セキュリティ応用研修
所属先は、情報システム、情報セキュリティ、DX企画調整、制度レジストリなどの担当部署や、システムを保有する他部局が想定されています。(こども家庭庁デジタル人材確保・育成計画(概要版)-p.3)

課長補佐クラス

おおむね10~20年目から20~30年目までの課長補佐クラスでは、統一的な研修に加えて、外部の専門的な組織などで、より高度なスキルを身につける段階とされています。(こども家庭庁デジタル人材確保・育成計画(概要版)-p.4)
情報システム担当や情報セキュリティ担当として、組織横断的な業務を担うことが想定されています。(こども家庭庁デジタル人材確保・育成計画(概要版)-p.4)

管理職

おおむね20~30年目以降の管理職では、幹部向けのケーススタディなど、実践的な演習を含む研修への参加が想定されています。(こども家庭庁デジタル人材確保・育成計画(概要版)-p.4)
所属先としては、サイバーセキュリティ・情報化企画官が挙げられています。また、管理職として外部組織の同等クラスのポストを経験することも想定されています。(こども家庭庁デジタル人材確保・育成計画(概要版)-p.4)
ただし、ここで示されているキャリアパスはあくまで一例です。すべての職員が同じ経路を進むという意味ではなく、情報システムやセキュリティに関する知識・経験を、職位に応じて段階的に高めていくイメージです。

関係府省庁・機関との人事交流も検討

計画では、デジタル庁、国家サイバー統括室、個人情報保護委員会などとの人事交流も、今後検討するとしています。(こども家庭庁デジタル人材確保・育成計画(概要版)-p.3)
こうした交流は、専門的な知識や異なる業務環境を経験する機会になります。一方で、概要版には、交流の実施時期、人数、具体的な制度までは記載されていません。現段階では、実施済みの施策ではなく、今後検討する方針として捉える必要があります。

専門部署だけでなく職員全体のリテラシーを向上

本計画は、情報システムやセキュリティを担当する専門人材だけを対象にしたものではありません。
幹部職員を含む一般職員がデジタル技術を円滑に活用できるよう、庁内全体のリテラシー向上も計画の柱となっています。(こども家庭庁デジタル人材確保・育成計画(概要版)-p.4)
具体的には、次のような研修や学習環境の整備が検討されています。(こども家庭庁デジタル人材確保・育成計画(概要版)-p.4)
  • 新規採用職員向け研修
  • 役職段階に応じた庁内研修
  • 一般職員向けの啓発セミナー
  • 管理職昇任時の研修
  • eラーニングなどを活用した継続学習
DXやセキュリティ対策を進めるには、専門部署だけでなく、各部局の職員が基本的なデジタル知識を身につけ、日常業務で適切に活用することも重要です。
計画では、職員が情報通信技術や情報セキュリティに関する知識を継続的に更新・補充できる環境を整えるとともに、業務上の配慮を含む必要な支援を行うとしています。(こども家庭庁デジタル人材確保・育成計画(概要版)-p.4)

まとめ

こども家庭庁のデジタル人材確保・育成計画は、単なる採用計画ではありません。
短期的には中途採用や任期付職員などによって外部人材を確保し、中長期的には新規採用職員が実務経験を積める環境を整え、庁内で人材を育成する方針です。加えて、政府デジタル人材候補者向け研修やCSIRT要員向け研修を活用し、専門人材と一般職員の双方のスキル向上を目指しています。(こども家庭庁デジタル人材確保・育成計画(概要版)-p.2)(こども家庭庁デジタル人材確保・育成計画(概要版)-p.3)
計画の背景には、出向者が多い組織構成のなかで、知識やノウハウをこども家庭庁の組織資産として定着させにくいという課題があります。外部人材の活用と庁内育成をどのように組み合わせ、継続的なデジタル対応力につなげるかが、今後の焦点になりそうです。(こども家庭庁デジタル人材確保・育成計画(概要版)-p.2)
一方、概要版では、具体的な採用人数、不足人数、研修実績、実施時期、成果指標などは示されていません。今後、計画に基づく機構・定員要求や採用、研修、人事交流がどのように具体化されるかを確認する必要があります。(こども家庭庁デジタル人材確保・育成計画(概要版)-p.2)
※本記事は、こども家庭庁が公表した「こども家庭庁デジタル人材確保・育成計画(概要版)」をもとに作成しています。概要版で確認できない採用人数、デジタル人材の不足数、研修実績、施策の効果については推測していません。
参考資料:こども家庭庁デジタル人材確保・育成計画(概要版)

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