司書を目指す人が最初に知っておきたいこと
司書は、図書館の資料を整理・管理し、利用者の情報探しや読書活動を支援する専門的な職員です(司書について-p.1)。
司書資格を取得するには、大学で所定の科目を履修する方法や、司書講習を修了する方法があります。ただし、司書資格を取得しただけで、図書館への就職が決まるわけではありません(司書について-p.1)。
図書館で働くには、希望する勤務先に応じた採用試験や採用選考に応募し、採用される必要があります(司書について-p.1)。
この記事では、文部科学省の案内をもとに、司書・司書補の仕事内容、資格取得の方法、司書講習の受講資格、勤務先別の採用方法を解説します。
司書と司書補の違い
司書は図書館資料と利用者をつなぐ専門職
司書は、都道府県や市町村の公共図書館などで、主に次の業務を担当します(司書について-p.1)。
- 図書館資料の選択、発注、受け入れ
- 受け入れた資料の分類
- 蔵書目録の作成
- 図書館資料の検索
- 資料の貸出・返却
- レファレンスサービス
- 利用者への読書案内
- 読書活動を推進する事業の企画・実施
- 自動車文庫などによる館外サービス
司書の仕事は、本の貸出や返却だけではありません。利用者の質問に答えたり、必要な資料を探したり、読書活動に関する企画を立案したりすることも重要な役割です(司書について-p.1)。
司書補は司書の職務を補助する職員
司書補は、司書が担当する専門的な職務を補助する立場です。司書の業務を支える事務などに従事します(司書について-p.1)。
なお、司書と司書補は資格の取得方法が異なります。司書資格を取得した人は、司書補の資格要件も満たします(司書について-p.2)。
司書資格を取得する3つの主な方法
司書資格を取得する主な方法は、次の3つです(司書について-p.1)。
- 大学・短期大学で所定の科目を履修して卒業する
- 大学または高等専門学校を卒業し、司書講習を修了する
- 司書補などの対象となる職務経験を通算3年以上積み、司書講習を修了する
方法1:大学・短期大学で所定の科目を履修して卒業する
大学を卒業し、大学で文部科学省令に定められた「図書館に関する科目」を履修すると、司書資格を取得できます。短期大学も大学に含まれます(司書について-p.1)。
この方法では、次の2つの条件を満たす必要があります。
- 所定の「図書館に関する科目」を履修する
- 大学または短期大学を卒業する
在学中の大学に司書養成課程がある場合は、通常の授業と並行して必要科目を履修します(司書について-p.2)。
大学によっては、通信制、夜間、科目等履修生の制度を利用して学べる場合もあります。ただし、対応状況や履修条件は大学によって異なるため、各大学の募集要項を確認してください(司書について-p.2)。
大学在学中に司書養成課程を履修して卒業した場合、大学によっては資格証明書が発行されることがあります(司書について-p.2)。
方法2:大学または高等専門学校を卒業して司書講習を修了する
大学または高等専門学校を卒業した人は、司書講習を修了することで司書資格を取得できます(司書について-p.1)。
司書講習は、文部科学省の案内では、おおむね毎年7月から9月にかけて、複数の大学で集中講習として実施されています(司書について-p.1)。
受講を希望する場合は、次の手順で申し込みます。
- 文部科学省の「司書について」のページで実施大学を確認する
- 希望する大学から募集要項を取り寄せる
- 必要書類を準備する
- 実施大学へ直接申し込む
司書講習を修了しても、大学または高等専門学校を卒業していなければ、このルートで司書資格は成立しません(司書について-p.1)。
方法3:対象となる職務経験を積んで司書講習を修了する
次のような職務に就いていた期間が通算3年以上あり、司書講習を修了した場合も、司書資格を取得できます(司書について-p.1)。
- 司書補の職
- 国立国会図書館や大学・高等専門学校の附属図書館で、司書補に相当する職
- 官公署、学校、社会教育施設などで、司書補と同等以上の職として文部科学大臣が指定する職
ここでいう職務経験は、法令や文部科学大臣の指定に基づく職に限られます。図書館で働いた経験であれば、すべてが対象になるとは限りません(司書について-p.1)。
対象となる職務に該当するかどうかは、文部科学省の案内や司書講習を実施する大学に確認してください。
司書講習の受講資格と申し込み方法
司書講習を受講できる主な人
司書講習の受講資格には、次のような条件があります(司書について-p.1)。
- 大学に2年以上在学し、62単位以上を修得した人
- 高等専門学校などを卒業した人
- 司書補など、対象となる職務に就いていた期間が通算2年以上ある人
- 文部科学大臣が前記の人と同等以上の資格を有すると認めた人
講習を受講する際、在学している、または過去に在学していた学部・学科は問われません。また、元資料では年齢制限もないとされています(司書について-p.1)。
受講資格と司書資格の成立条件は異なる
注意したいのは、司書講習を受講できることと、司書資格を取得できることは同じではない点です(司書について-p.1)。
講習を修了したうえで、ルートに応じて次の条件を満たす必要があります。
- 大学または高等専門学校を卒業している
- 対象となる職務経験が通算3年以上ある
つまり、司書講習の受講資格があっても、講習を修了しただけでは司書資格が成立しない場合があります(司書について-p.1)。
申し込みは実施大学に直接行う
司書講習の申し込みは、文部科学省に一括して行うものではありません(司書について-p.1)。
受講を希望する大学から募集要項を取り寄せ、必要書類を準備したうえで、実施大学へ直接申し込みます。実施大学、募集時期、日程、受講料などは年度によって変わるため、最新の募集要項を確認してください(司書について-p.6)。
大学の司書養成課程で資格を取得する方法
大学や短期大学には、司書資格の取得に必要な「図書館に関する科目」を履修できる司書養成課程があります(司書について-p.2)。
大学在学中に履修する場合
在籍している大学に司書養成課程がある場合は、必要な科目を履修し、大学を卒業します(司書について-p.2)。
まずは、大学の履修案内や教務窓口で、次の点を確認しましょう。
- 司書養成課程の有無
- 必要な科目
- 履修登録の時期
- 卒業要件との関係
- 資格証明書の発行の有無
卒業後に別の大学で履修する場合
卒業した大学に司書養成課程がない場合でも、別の大学で必要科目を履修できる場合があります(司書について-p.2)。
方法としては、次のようなものがあります。
- 通信制課程
- 夜間の授業
- 科目等履修生制度
ただし、通信制や科目等履修に対応しているかどうかは大学によって異なります。履修前に、既に大学を卒業している人が必要科目を履修できるか確認してください(司書について-p.2)。
卒業した大学とは別の大学で科目を履修した場合は、一般に次の書類を用いて資格を証明します。
- 大学の卒業証明書
- 図書館に関する科目の単位修得証明書
複数の大学で必要科目を履修した場合も、各大学の単位修得証明書が必要になることがあります。提出書類は応募先の募集要項に従ってください(司書について-p.5)。
司書講習と大学の司書養成課程の違い
| 比較項目 | 司書講習 | 大学の司書養成課程 |
| 学び方 | 集中講習 | 大学の授業として履修 |
| 主な対象者 | 受講資格を満たす人 | 大学在学者、科目等履修生など |
| 申し込み先 | 講習を実施する大学 | 司書養成課程を開設する大学 |
| 大学卒業の扱い | ルートによって必要 | 必要科目の履修に加えて卒業が必要 |
| 実施時期 | おおむね夏から秋 | 大学ごとの学年暦による |
| 注意点 | 受講資格と資格成立条件を確認する | 通信制・科目等履修の可否を確認する |
すでに大学を卒業している人は、司書講習または別の大学での科目等履修を検討しやすいでしょう(司書について-p.1)。
大学在学中の人は、在籍大学の司書養成課程を履修する方法が一般的です(司書について-p.2)。
ただし、必要科目、履修方法、科目の代替の可否は大学ごとに異なります。
司書補になる方法
司書補になるには、次のいずれかを満たす必要があります(司書について-p.1)。
- 司書資格を有する
- 大学入学資格があり、司書補講習を修了する
大学入学資格を持つ人には、次のような人が含まれます(司書について-p.1)。
- 高等学校を卒業した人
- 中等教育学校を卒業した人
- 通常の課程による12年の学校教育を修了した人
- 高等学校卒業程度認定試験に合格した人
司書補講習も、おおむね毎年7月から9月にかけて、複数の大学で集中講習として実施されています(司書について-p.2)。
受講を希望する場合は、実施大学から募集要項を取り寄せ、必要書類を準備して、大学へ直接申し込みます。実施大学や日程、受講料は年度によって異なります(司書について-p.2)。
司書資格を取得したら図書館で働けるのか
司書資格を取得しても、必ず図書館に就職できるわけではありません。
資格取得と就職は、別に考える必要があります。資格取得後は、希望する勤務先の採用試験や採用選考に応募し、採用されなければなりません(司書について-p.3)。
公立図書館では、自治体によって次のような採用方法があります。
- 一般行政職・事務職として採用し、図書館へ配属する
- 司書または司書補の職種として採用する
公立大学や高等専門学校の附属図書館については、設置者や法人によって採用制度が異なる場合があります。各機関の募集要項を確認してください。
なお、司書資格の取得自体には年齢制限はありません。ただし、採用試験では年齢要件が設けられていることがあります(司書について-p.1)。
勤務先別の採用方法
| 勤務先 | 採用方法の概要 |
| 公立図書館 | 自治体の採用試験や採用選考 |
| 公立大学・高等専門学校の附属図書館 | 設置者や法人の採用制度を確認 |
| 国立国会図書館 | 国立国会図書館独自の採用試験 |
| 国立大学・高等専門学校の附属図書館 | 年度・機関ごとの最新採用案内を確認 |
| 私立大学などの附属図書館 | 各大学などが独自に採用 |
| 学校図書館 | 司書教諭や学校司書など、職種ごとに要件を確認 |
国立国会図書館
国立国会図書館では、独自の職員採用試験を実施しています。応募資格、試験区分、日程は、国立国会図書館の最新の採用情報を確認してください(司書について-p.3)。
国立大学・高等専門学校の附属図書館
国立大学・高等専門学校の採用方法は、年度や機関によって異なります。文部科学省の案内には地区単位の試験と各機関による選考が紹介されていますが、現在の制度や「図書」区分の有無は、最新の採用案内で確認してください(司書について-p.3)。
私立大学などの附属図書館
私立大学などの附属図書館では、各大学などが独自に職員を採用します。募集の有無、司書資格の要否、雇用形態は大学によって異なります(司書について-p.3)。
学校図書館
学校図書館に関わる職種として、司書教諭と学校司書があります(司書について-p.3)。
司書教諭は、学校図書館の専門的な職務を担う教員です。主幹教諭、指導教諭または教諭をもって充てることとされています(司書について-p.3)。
一方、学校司書は、学校図書館の運営を支える職員です。採用条件や必要な資格は、自治体や学校の設置者によって異なります。
学校図書館で働きたい場合は、「司書」「司書教諭」「学校司書」のどの職種を目指すのかを整理し、各自治体や学校の募集要項を確認しましょう。
資格取得後に準備する証明書
採用試験や採用選考では、資格の有無を証明する書類の提出を求められることがあります。
大学在学中に司書養成課程を履修して卒業した場合は、大学によって資格証明書が発行されることがあります(司書について-p.2)。
一方、卒業した大学とは別の大学で必要科目を履修した場合は、次の書類で資格を証明する方法があります。
- 大学の卒業証明書
- 図書館に関する科目の単位修得証明書
司書講習を修了した場合は、講習実施大学が発行する修了関係書類が必要になることがあります。
必要な書類や証明書の形式は、応募先によって異なります。採用試験の募集要項と、資格を取得した大学・講習実施大学の案内を確認してください(司書について-p.5)。
司書に関するよくある質問
司書資格があれば、必ず公共図書館に就職できますか?
いいえ。司書資格を取得しても、就職が保証されるわけではありません。
公立図書館で働くには、自治体などが実施する採用試験や採用選考に応募し、採用される必要があります(司書について-p.3)。
資格取得に年齢制限はありますか?
司書・司書補の資格取得自体には、年齢制限はありません(司書について-p.1)。
ただし、採用試験では年齢要件が設けられている場合があります。
在籍している大学に司書養成課程がない場合はどうすればよいですか?
司書講習を受講する方法があります。
また、司書養成課程を開設している別の大学で、通信制、夜間、科目等履修生制度などを利用して必要科目を履修できる場合があります(司書について-p.2)。
大学を卒業した後、別の大学で司書課程を履修しても資格を証明できますか?
元資料では、大学の卒業証明書と、図書館に関する科目の単位修得証明書によって資格を証明できるとされています(司書について-p.5)。
ただし、実際に提出する書類は応募先の募集要項で確認してください。
大学で修得した科目を、司書講習の代わりにできますか?
大学で修得した科目を証明する書類などを提出し、講習を実施する大学の判断で、科目の代替が認められる場合があります(司書について-p.1)。
すべての科目が自動的に免除されるわけではないため、司書講習を実施する大学に確認してください。
司書講習・司書補講習の申し込みはどこで行いますか?
受講を希望する講習の実施大学へ直接申し込みます(司書について-p.1)。
実施大学、募集期間、必要書類、日程、受講料は年度によって異なるため、文部科学省と各大学の最新情報を確認してください(司書について-p.6)。
まとめ
司書資格を取得する主な方法は、次の3つです。
- 大学・短期大学で所定の「図書館に関する科目」を履修して卒業する
- 大学または高等専門学校を卒業し、司書講習を修了する
- 司書補などの対象となる職務経験を通算3年以上積み、司書講習を修了する
司書補になるには、司書資格を取得するか、大学入学資格を持つ人が司書補講習を修了します(司書について-p.2)。
最も重要なのは、資格取得と図書館職員としての採用は別であるという点です。
司書を目指す場合は、次の順番で準備しましょう。
- 大学在学中か、卒業済みか、対象となる職務経験があるかを確認する
- 大学の司書養成課程と司書講習のどちらが適しているか検討する
- 働きたい図書館の種類を決める
- 各大学、自治体、図書館などの募集要項を確認する
- 資格証明書や単位修得証明書など、必要書類を準備する
司書講習の実施大学、日程、受講料、採用試験の内容は、年度や機関によって変わります。申し込みや応募の前に、文部科学省の「司書について」のページと、各実施大学・自治体・図書館の公式情報を必ず確認してください(司書について-p.1)(司書について-p.6)。
参考資料:司書について(文部科学省)

