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母子保健DXとは?PMH・電子版母子健康手帳の仕組みと自治体の導入ポイント

母子保健DXとは?PMH・電子版母子健康手帳の仕組みと自治体の導入ポイント

はじめに

母子保健DXとは、全国共通の情報連携基盤「PMH(Public Medical Hub)」や電子版母子健康手帳を活用し、妊産婦・乳幼児健診の問診、本人確認、健診結果の登録・確認、自治体間の情報連携などをデジタル化する取り組みです(母子保健DXに係る自治体説明会-p.3)。住民は、スマートフォンなどから問診票を入力したり、健診結果を確認したりできるようになることが想定されています。自治体や医療機関にとっても、紙の問診票の郵送・回付、健診結果の転記、二重入力などの事務負担軽減が期待されています(母子保健DXとは-p.3医療機関の業務効率化・健診の精度向上-p.8)。令和8年度以降は、電子版母子健康手帳の普及を含む全国展開が予定されています。ただし、全国一斉に導入されるのではなく、環境が整った自治体から順次開始される見込みです(今後想定されるスケジュール-p.24)。
要点
PMHは母子保健情報を連携する共通基盤、電子版母子健康手帳や各種アプリは、住民・医療機関・自治体が情報を入力・閲覧するための窓口です(電子版母子健康手帳ガイドラインについて(令和8年3月31日発出)-p.19)。

PMHと電子版母子健康手帳の違い

母子保健DXでは、複数のシステムやアプリが連携します(母子保健DXについて-p.11【PMHシステム構成図 R7年度時点】-p.12)。
仕組み主な役割
PMH住民、医療機関、自治体の間で母子保健情報を連携する共通基盤
電子版母子健康手帳母子健康手帳の情報をアプリなどで入力・閲覧する仕組み
マイナポータル住民が行政サービスや健診情報などを確認する窓口
自治体の健康管理システム健診対象者や健診結果などを自治体側で管理するシステム
医療機関向け画面・アプリ医療機関や健診会場が問診情報や健診結果を入力・参照する仕組み
PMHを介して、健診情報、母子健康手帳情報、産後ケアや新生児訪問指導などの情報を連携することで、住民、医療機関、自治体の間で情報を共有しやすくすることを目指します(母子保健DXとは-p.9母子保健DXとは-p.10)。

電子版母子健康手帳とは

電子版母子健康手帳は、母子健康手帳に記録される情報をPMHに保存し、アプリなどを通じて利用者、医療機関、自治体が情報を入力・参照する仕組みです(アクセスすることで、利用者、医療機関等及び自治体が当該情報の入力・参照を可能とするものである。-p.19)。
扱う情報として、次のような項目が想定されています。
府令様式の内容や既往歴などをPMHに保存することで、転居などで利用するアプリが変わった場合でも、同じ情報を利用できるようにする考え方が示されています(電子版母子健康手帳ガイドラインについて(令和8年3月31日発出)-p.18)。
なお、情報がPMHに保存されることと、誰が情報を保有・利用するかは別の問題です。説明会資料では、電子版母子健康手帳の情報の保有主体を利用者である国民と整理し、利用者本人の同意に基づいて参照・入力する仕組みが示されています(電子版母子健康手帳ガイドラインについて(令和8年3月31日発出)-p.19)。
出生後の子どもについては、母親の同意に基づき、母親の情報と子どもの情報を一体的に扱う仕組みが検討されています。子どもの受診時に、母親が同意した情報を父親や祖父母などの付き添い者が利用できる仕組みも想定されています(電子版母子健康手帳ガイドラインについて(令和8年3月31日発出)-p.19)。

住民にとって何が変わるのか

スマートフォンで問診票を入力できる

従来は、自治体から送付された紙の問診票に記入し、健診会場や医療機関へ持参する必要がありました(集団健診:現行業務と母子保健DXの導入後の業務-p.26個別健診:現行業務と母子保健DXの導入後の業務-p.27)。母子保健DXでは、対象者情報を登録したうえで、PMHを介して受診勧奨や問診票をデジタルで届け、住民がスマートフォンなどから回答する流れが想定されています(母子保健DX導入による効果(問診票送付~記入)-p.28)。氏名などの基本情報があらかじめ登録されれば、健診のたびに同じ内容を繰り返し記入する負担も軽減されます(母子保健DX導入による効果(問診票送付~記入)-p.28)。

健診結果をスマートフォンなどで確認できる

医療機関や健診会場で登録された健診結果は、自治体の健康管理システムなどに連携され、登録後に住民がスマートフォン等で確認できる仕組みが想定されています(母子保健DX導入による効果(健診実施~健診結果確認)-p.30)。
ただし、結果が表示されるまでの時間や、確認できる画面は自治体や利用するアプリによって異なる可能性があります。

自治体からの通知を受け取れる

電子版母子健康手帳とPMHを活用し、自治体から次のような情報をプッシュ通知で届けることが想定されています。
必要な人に必要な情報を届けることで、支援へのつながりやすさの向上が期待されています(母子保健DXに期待される効果・メリット-p.7)。

里帰りや転居時の情報連携が進む

里帰り出産や転居によって、住居地以外の自治体や医療機関を利用する場合、自治体間の情報連携や費用請求の手続きが課題になることがあります(母子保健DXとは-p.10)。母子保健DXでは、PMHを介して居住地自治体と里帰り先自治体などが情報を共有し、健診受診時の手続きを簡素化することが目指されています(母子保健DXとは-p.10住民票所在地自治体-p.22)。
一方、里帰り出産に関する集合契約・請求支払システムは、令和8年度に要件定義、令和9年度以降に開発を進める予定です。情報連携と費用請求のデジタル化が、すべての地域で同時に利用できるとは限りません(こども政策DXの取組状況について-p.23)。

健診当日の流れはどう変わるのか

従来の集団健診

従来の集団健診では、一般に次のような業務が発生します。
  1. 自治体が対象者を登録する
  2. 問診票や受診案内を印刷・郵送する
  3. 住民が紙の問診票に記入する
  4. 問診票を健診会場へ持参する
  5. 受付で本人確認を行う
  6. 医師や保健師が紙の問診票を確認する
  7. 健診結果を紙に記入する
  8. 結果を郵送し、自治体職員が健康管理システムへ入力する
この流れでは、郵送、紙の回付、手入力、結果の転記などに時間と手間がかかります(集団健診:現行業務と母子保健DXの導入後の業務-p.26)。

デジタル化後の集団健診

母子保健DXの導入後は、次のような流れが想定されています。
  1. 自治体が健診対象者をPMHに登録する
  2. PMHから住民へ受診勧奨や問診票を送付する
  3. 住民がスマートフォン等で問診票に回答する
  4. 健診会場でマイナンバーカードを使って本人確認・対象者確認を行う
  5. 健診担当者が端末上で問診情報を確認する
  6. 医師や保健師が健診を実施し、端末から結果を登録する
  7. 健診結果を自治体の健康管理システム等へ連携する
集団健診では、マイナ資格確認アプリの利用が想定されています。オンライン資格確認端末を備えた医療機関では、既存端末を利用する場合もあります(母子保健DXにおけるPMHへの連携-p.32母子保健DX導入による効果(本人確認~問診票確認)-p.29)。
ただし、マイナンバーカードを持っていない場合や読み取りができない場合の対応は、自治体や医療機関の運用を確認する必要があります。

個別健診の場合

個別健診では、医療機関の既存システムや運用体制に応じて、次の方式が想定されています。
電子カルテ等からPMHへ直接入力・参照する方式は、説明会資料では今後検討される位置づけです。医療機関ごとに、ネットワーク、端末、院内のセキュリティポリシーなどを確認する必要があります(母子保健DXにおけるPMHへの連携-p.32令和9年度以降、母子保健DXを導入するために、自治体・医療機関で予算計上及び導入準備の対応-p.37)。

医療機関に期待される効果

医療機関や健診会場では、次のような効果が期待されています。
  • 紙の問診票を回付する負担の軽減
  • 手書き情報を判読する負担の軽減
  • 問診情報の端末上での確認
  • 健診結果の端末からの登録
  • 自治体への結果郵送の削減
  • 健診結果の二重入力の削減
  • 過去の健診結果を活用した健診の効率化
  • 健診情報と医療情報等の分析による健診の質向上(医療機関の業務効率化・健診の精度向上-p.8
ただし、システム導入時には、端末やネットワークの整備、操作研修、既存システムの改修などが必要になる可能性があります(医療機関(個別健診)における想定スケジュール-p.33)。

自治体に期待される効果

自治体では、次のような効果が期待されています。
  • 受診勧奨や問診票送付のデジタル化
  • 健診結果の速やかな把握
  • 受診状況の確認の迅速化
  • 未受診者への勧奨業務の効率化
  • 健診結果の入力・取り込み作業の削減
  • 里帰り先や転居先自治体との情報共有
  • 健診後の支援が必要な住民の早期把握

これまでの経緯と今後の予定

年度主な取り組み
令和2年度一部の乳幼児・妊婦健診情報をマイナポータルで閲覧可能にし、自治体間で共有する仕組みを整備(これまでの経緯、今後の進め方-p.9
令和4年度産後ケア、新生児訪問指導、相談機関の利用記録など、閲覧可能な情報の拡充を整理(これまでの経緯、今後の進め方-p.9
令和5年度デジタル庁がPMHを構築(これまでの経緯、今後の進め方-p.9
令和6年度改正母子保健法が成立。複数自治体で乳幼児・妊婦健診の先行実施を開始(これまでの経緯、今後の進め方-p.9
令和7年度電子版母子健康手帳ガイドラインを発出。PMHの機能拡張を推進(電子版母子健康手帳ガイドラインについて(令和8年3月31日発出)-p.19これまでの経緯、今後の進め方-p.9
令和8年度以降電子版母子健康手帳の普及を含む母子保健DXの全国展開を予定(これまでの経緯、今後の進め方-p.9
令和8年度末からは、特に乳幼児健診の集団健診を中心に、全国の自治体への展開を開始する予定です。ただし、環境が整った自治体から順次開始されるため、利用開始時期や対象となる健診は自治体によって異なる可能性があります(こども政策DXの取組状況について-p.23)。
今後は、次のような機能の整備も想定されています。

自治体が導入前に準備すること

自治体がデジタル健診を実施するまでのプロセスは、次の3段階に整理されています。
  1. 立上:導入対象、関係者、業務内容を整理する
  2. 準備:PMHへの事前登録や住民への周知を行う
立上段階では、次の準備が必要です(母子保健DXを導入するための自治体タスク一覧(① 立上)-p.36)。

対象となる健診を選定する

妊産婦健診・乳幼児健診などのうち、デジタル化する健診を検討します。
  • 集団健診か個別健診か
  • 実施会場や協力医療機関
  • 対象者数
  • 年間の実施回数
  • 現行業務の負担
  • 既存システムとの連携可否

関係者と調整する

庁内関係部署、医師会、医療機関、委託先、健康管理システム事業者、アプリ事業者などを洗い出し、導入目的や運用変更点を共有します(母子保健DXを導入するための自治体タスク一覧(① 立上)-p.36)。

現行業務と会場動線を整理する

対象者登録、通知、問診、受付、健診、結果登録までの業務フローを整理します。
集団健診では、次の点も確認します。
  • 受付・健診用端末の配置
  • マイナンバーカードの読み取り場所
  • 住民の受付から健診までの動線
  • 問診情報を確認する職員や医師の配置
  • 通信環境
  • 端末の管理方法

契約・申請を行う

必要に応じて、以下の手続きを進めます。
特定個人情報を取り扱うため、個人情報管理部門と相談し、個人情報保護評価(PIA)の実施要否や必要な手続きを確認します(母子保健DXを導入するための自治体タスク一覧(① 立上)-p.36)。

端末・ネットワークを整備する

集団健診では、タブレット、カード読み取り機器、通信回線、端末のセキュリティ対策などが必要になる可能性があります。受付レーン数、受診者数、カードの読み取り方式、住民の動線などを踏まえ、本人確認用端末と健診結果入力用端末を分けるかどうかも検討します(母子保健DXを導入するための自治体タスク一覧(① 立上)-p.36)。

導入に必要となる可能性がある費用

費用は、対象とする健診や採用する連携方式によって異なります(令和9年度以降、母子保健DXを導入するために、自治体・医療機関で予算計上及び導入準備の対応-p.37)。

集団健診

個別健診

説明会資料では、個別健診における母子保健アプリ利用費やタブレット端末等について、国の費用補助は現時点で想定されていないとされています(母子保健DXで個別健診を実施する場合の費用の考え方-p.38)。

自治体に共通する費用

PMH利用料や費用負担の在り方など、説明会時点で検討中の項目もあります(令和9年度以降、母子保健DXを導入するために、自治体・医療機関で予算計上及び導入準備の対応-p.37)。

導入時の注意点

紙の母子健康手帳との関係を確認する

電子版の普及が進められていますが、紙の母子健康手帳との併用などにより、関係者と合意形成しながらデジタル化を進めることが重要とされています(電子版母子健康手帳ガイドライン策定に向けた検討会 取りまとめ(概要)-p.17)。紙の手帳の具体的な扱いや、紙の問診票を利用できるかどうかは、自治体の案内を確認してください。

個人情報と同意の範囲を整理する

母子保健情報は、本人同意や認証に基づいて参照・入力する仕組みが想定されています(電子版母子健康手帳ガイドラインについて(令和8年3月31日発出)-p.19)。
特に、母親と子どもの情報を一体的に扱う場合や、父親・祖父母が子どもの受診に付き添う場合は、誰がどの情報を閲覧できるのかを確認する必要があります(電子版母子健康手帳ガイドラインについて(令和8年3月31日発出)-p.19)。

デジタル機器を使わない住民への対応を確認する

スマートフォンやマイナンバーカードを利用できない場合、通信障害や端末故障が起きた場合の代替手段については、自治体や医療機関によって運用が異なる可能性があります。
利用開始前に、次の点を確認しておくと安心です。
  • 紙の問診票を利用できるか
  • マイナンバーカードがない場合の本人確認方法
  • 会場で入力を支援してもらえるか
  • 通信障害時の受付方法
  • 問い合わせ窓口

まとめ

母子保健DXは、PMHと電子版母子健康手帳を活用し、妊産婦・乳幼児健診の問診、本人確認、健診結果の登録・確認、自治体間の情報連携をデジタル化する取り組みです(母子保健DXとは-p.3)。住民にとっては、スマートフォンによる問診票の入力、健診結果の確認、自治体からのプッシュ通知、里帰り・転居時の情報連携などが期待されています(母子保健DX導入による効果(問診票送付~記入)-p.28母子保健DX導入による効果(健診実施~健診結果確認)-p.30)。自治体や医療機関にとっても、紙の郵送・回付、結果の転記、二重入力の削減や、受診状況の迅速な把握につながる可能性があります(医療機関の業務効率化・健診の精度向上-p.8母子保健DXに期待される効果・メリット-p.7)。
一方で、全国展開は一斉導入ではなく、環境が整った自治体から順次開始される予定です。利用開始時期、対象となる健診、利用するアプリ、マイナンバーカードの利用場面、紙との併用方法などは、自治体によって異なる可能性があります(こども政策DXの取組状況について-p.23今後想定されるスケジュール-p.24)。自治体が導入する際は、対象健診の選定、関係者調整、現行業務の整理、契約・申請、PIA、システム改修、端末・ネットワーク整備、住民向け広報を一体的に進めることが重要です(母子保健DXを導入するための自治体タスク一覧(① 立上)-p.36母子保健DXで自治体が共通して準備する費用の考え方-p.39)。
参考資料:こども家庭庁「母子保健DXに係る自治体説明会 令和8年度 第1回」
※本記事の内容は、上記説明会資料に基づくものです。具体的な利用開始時期や運用は、国・自治体の最新案内を確認してください。

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