はじめに
私たちの身近にある図書館のシステムが提供する「利用者中心のサービス」と「自動化による業務効率化」という二つの大きな進化の波は、一般の企業や組織における「貸出管理」のあり方を根本から変えるヒントを与えてくれます。図書館では、ICタグ(RFID)や自動貸出機を活用することで、職員がカウンター業務に割いていた時間を、利用者への読書案内や専門的な相談(レファレンスサービス)といった「人にしかできない業務」に充てることが可能になりました。この図書館の成功体験を、あなたの組織の物品管理に活かすための「貸出管理システム」への応用と導入のヒントを、最後にまとめます。
貸出管理システムへの応用:ムダをなくし、資産を活かす
物品管理システム(備品管理システム)は、バーコードやICタグを物品に付与することで、その所在や利用状況をリアルタイムで把握し、管理業務を効率化するシステムです。従来の紙やExcelによる管理では、「誰が何を借りているか分からない」「返却期限が守られない」「記入ミスで監査に引っかかる」といった課題が発生し、担当者に「名もなき仕事」として大きな負担がかかっていました。貸出管理システムを導入することで、これらの課題を解決し、図書館のように物品の利用をスムーズに、かつ正確に管理できます。
貸出管理システムが持つ主要な機能
1. 自動認識技術による記録の効率化
図書館がICタグやバーコードを活用して貸出・返却を効率化したように、物品管理システムもQRコードやバーコードを使用し、物品の移動や貸し借りなどの現物データをシステム上で一元管理します。スマートフォンアプリでQRコードを読み取るだけで、貸出・返却記録が完了する製品も多く、社員の利用の手間が大幅に軽減されます。ICタグ(RFID)に対応したシステムであれば、複数の物品を箱に入れた状態でも一括で情報を読み取ることができ、特に棚卸し作業の効率化に貢献します。
2. 紛失・重複を防ぐ管理機能の充実
物品が今どこにあるのか、誰が管理しているのか、を可視化することで、紛失や横領を防ぎます。貸出管理システムには、物品管理を成功させるために不可欠な機能が搭載されています。
- 予約管理機能:カレンダーなどで物品の利用予約を管理・確認でき、機材の重複予約を防止します。
- 返却期日アラート:返却期限を通知し、未返却時には催促メールや通知を送信することで、返却遅延や紛失リスクを軽減します。
- 貸出履歴表示:過去の貸出履歴から利用頻度を分析でき、機材の追加購入や修理時期を検討するための貴重なデータとして活用できます。
3. 情報のリッチ化による資産の有効活用
図書館が書影や概要といった情報をリッチ化することで利用者が資料を選びやすくなったように、物品管理システムでも、物品情報(台帳)に写真や利用状況、メンテナンス履歴などを付加することで、資産の有効活用につながります。
導入のヒント:まずはスモールスタートで
本格的な貸出管理システムの導入は、初期費用が高くつくこともありますが、近年はクラウド型のサービスが増え、比較的安価に導入できる選択肢が増えています。
- クラウド型の利点:初期費用を抑えられ、サーバーの管理・運用負担がないため、IT専門の人材がいない組織でも手軽に導入が可能です。
- 無料・低コストでの試行:「カシカン」のように無料で始められるシステムや、他システムのように初期費用無料で月額料金が設定されているシステムもあります。まずは管理対象を限定し、小規模で試用運用に慣れてから対象を広げていく段階的な導入がおすすめです。
図書館が「知識と人をつなぐ」という本来の役割をシステム化によって再認識したように、物品管理システムを導入し、貸出管理を正確かつ効率化することで、組織は資産の有効活用と、従業員が本来集中すべき業務に時間を使える環境を実現できるでしょう。
カシカンの紹介
ここで、カシカンについて詳しくご紹介します。カシカンは、簡単かつ効果的な蔵書管理を実現するためのクラウドサービスです。以下に、カシカンの主要な機能と利点をまとめます。
カシカンの主要機能
1. バーコード読み取り機能
カシカンでは、本のISBNコードを読み取ることで書籍情報や書影が自動で登録できます。登録できる本の数にも制限がないため、数が膨大でも大丈夫です。
2. 貸出書籍の一括登録
カシカンでは、登録したい書籍が大量にある場合、一括登録機能でエクセルやスプレッドシート、CSV形式のファイルデータから直接書籍の情報を取り込むことが出来るため、データ入力の手間を大幅に削減できます。
3. リマインダー機能
カシカンでは、書籍の貸出予定日の前日や返却予定日の前日と当日に利用者に対して通知が送られるリマインダー機能、また延滞時に通知を行う機能があります。これにより、返却忘れなどの防止に繋がります。
4. 会員証作成機能
カシカンでは、グループページへのログインリンクをQR化してプリントできます。会員証を活用すれば、たとえ一台の端末でもカシカンをみんなで使えます。アカウント登録不要の会員証も発行可能で、メールアドレスは不要です。
5. ひらがなモード
まだ漢字の読めないこども向けに、カシカンで表示する文字を全てひらがなにすることができます。これで子供が自分たちで借りたいものを選び、貸出を行えるようになります。
6. QRコードを利用した物品管理
カシカンでは、QRコードを活用して物品の管理ができます。印刷したQRコードを備品に貼り付けたり、紐付けておくことで、手元の備品から即座にカシカン上での予約手続きに移ることができます。
カシカンの利点
1. コスト効率
- 基本機能は無料で利用可能なため、小規模な資料室や学校でも手軽に導入できます。
- 追加機能や拡張オプションも低コストで提供されており、予算に応じた運用が可能です。
2. 情報のリッチ化
- 書籍情報の自動取得により、詳細なメタデータが充実。
- 視覚的にわかりやすい書影の表示で、ユーザーが目的の書籍を見つけやすくなります。
3. ユーザーフレンドリー
- シンプルな操作性が特徴で、専門知識がなくても簡単に利用できます。
- モバイルデバイスとの連携がスムーズで、現場での利便性が高いです。
カシカンを利用することで、蔵書管理の効率化と利用者の利便性向上を同時に実現することができます。また、無料から始められるため、導入のハードルが低く、すぐに効果を実感することが可能です。
まとめ:低コストで「リッチ化」を始めるカシカン
図書館の進化は、「利用者(社員)が中心」という視点と、ICタグやQRコードといった自動認識技術による「業務の効率化」の重要性を教えてくれました。図書館員が自動貸出機(セルフ貸出)によって時間を創出し、利用者の読書案内など「人にしかできない業務」に集中できるようになったように、この成功体験は、企業の物品管理にも応用可能です。現代の貸出管理システムは、まさにこの図書館の知恵を応用したものです。物品にバーコードやQRコード、ICタグを付与することで、貸出・返却記録を自動化し、紙やExcelで発生していた記入漏れや紛失、そして「名もなき仕事™」を劇的に削減します。物品の貸出状況や返却期限を正確に記録・通知できるため、資産の有効活用や無駄な再購入の防止にもつながります。ぜひ、図書館の資料が「リッチ化」されたように、備品の管理情報も充実させ、ITの力を借りて、貴社の貸出管理を正確かつ効率的な「価値創造の基盤」へと進化させていきましょう。
カシカンのより詳しい機能にご興味がある方はぜひ、カシカンの公式サイトやカシカン使い方ブログをご覧ください。