はじめに
研究室の運営において、避けては通れないのが「備品の管理」です。特に、複数の学生や研究者が共同で利用するラボでは、管理の不備が研究の進捗に直結します。この記事は、「実験器具の貸出簿が形骸化している」「試薬の在庫が分からず研究が止まった」という悩みを抱える、研究室運営の担当者や教職員向けの内容です。
ラボにおける備品管理の基本
研究室には、大きく分けて3つの管理対象があります。
- 高額な共通設備: 分析装置など、予約が必要なもの
- 実験器具: マイクロピペットやガラス器具など、共有して使うもの
- 試薬・消耗品: 使うと減っていくもの
今回のテーマである「貸出」が必要な器具や「共有」が必要な試薬は、その所在が常に動くため、最も管理が難しい部類に入ります。基本は「誰が、いつ、どこへ持っていったか」を可視化することに尽きます。
現場でよく起きる「管理のつまずき」
多くの研究室では、ホワイトボードやExcelの貸出簿を導入しているはずです。しかし、現実は以下のような光景が繰り返されていませんか?
- 貸出簿の記入漏れ: 急いでいるときに「後で書こう」と思い、そのまま忘れる。
- 「いつもの場所」にない: 洗浄後、元の棚ではなく別の場所に返却される。
- 試薬の「空瓶」放置: 最後に使い切った人が発注担当に伝えず、在庫ゼロが判明。
- 属人化: 「〇〇の部品は、B君のデスク周辺にあるはず」といった暗黙の了解。
これらの問題は、学生の意識が低いから起きるわけではありません。
業務を楽にする考え方・整理の視点
管理を楽にするには、「頑張らなくても回る仕組み」が必要です。以下の3つの視点で整理してみてください。
- 物理的な「住所」を決める: すべての器具に番号を振り、棚にも同じ番号を貼ります。「戻すべき場所」を視覚的に固定します。
- 動線を最短にする: 貸出簿や管理端末は、器具の保管場所のすぐ横に配置します。
- 「現状」を疑う: すべての備品を完璧に管理しようとせず、トラブルが起きたら困る「重要備品」から順に管理対象を絞ります。
具体的な管理方法と運用のステップ
いきなりすべての備品をシステム化するのは、負担が大きすぎて失敗します。以下の手順で、少しずつ「仕組み」を広げていくのが現実的です。
ステップ1:現状の洗い出しと優先順位付け
まず、管理が属人化しているものや、台帳が更新されていない項目を書き出します。その中から「無くなると実験が止まるもの」を3つだけ選んでください。
ステップ2:段階的なデータ登録
選んだ3つの備品から順に、デジタル台帳(アプリや共有シート)へ登録します。例えば、まずは「共用ノートパソコン」「高額な特殊ピペット」「共通の試薬キット」だけを登録します。
ステップ3:運用の「癖」をつける
最初の2週間は、登録した3つの備品についてだけ、徹底的に「持ち出し時にチェックを入れる」運用を回します。これに慣れてきたら、翌月には対象を5個、10個と増やしていきます。洗い出したものから順に登録し、少しずつ登録数を増やすことが、挫折しないコツです。
運用の具体例(スマホ活用)
最近では、各備品にQRコードを貼り、スマホでスキャンするだけで「貸出中」にステータスが変わる運用が主流です。これなら、PCを開いて台帳に入力する手間が省け、研究の手を止めません。
この方法の限界と注意点
ただし、この仕組みにも限界があります。
- 消耗品の管理には不向き: 使い捨てのチップや手袋などは、1回ごとに貸出処理をするのは非効率です。
- 通信環境の依存: 地下にあるラボなど、電波の入りにくい場所ではスマホアプリの動作が不安定になることがあります。
不足する部分を補う「カシカン」の活用
ここまで紹介した「少しずつ登録を増やし、スマホで手軽に管理する」という運用を実現する選択肢の一つが、「カシカン」です。
カシカンは、スマホ一台で備品の貸出状況を可視化できるサービスです。研究室で以下のような使い方ができます。
- 実験器具のQRコード管理: 器具に貼ったコードを読み取るだけで、誰が使っているか一目で分かります。
- 試薬の共有ステータス: 「未開封」「使用中」「在庫僅少」といった状態をカスタム設定し、共有できます。
- 段階的な導入: まずは特定の棚の備品からカシカンに登録し、使い勝手を試しながら徐々に範囲を広げることが可能です。
「あの器具、今どこにある?」と探し回る時間は、研究成果には繋がりません。カシカンを使って、管理の「人の頑張り」を「仕組み」に置き換えてみてはいかがでしょうか。研究室の秩序が保たれることで、本来集中すべき実験や論文執筆の時間を、より多く確保できるようになるはずです。
カシカンのより詳しい機能にご興味がある方はぜひ、カシカンの公式サイトやカシカン使い方ブログをご覧ください。

