はじめに
大規模災害への備えは、自治体、地域防災会、そして自治会にとって、地域社会を守るための最優先事項です。しかし、いざという時、地域防災の拠点である備蓄倉庫が「ブラックボックス」と化し、訓練や貸出後の所在不明、期限切れ入替のモレ、そして台車/発電機/無線機の管理台帳が煩雑であるという課題を抱えているケースは少なくありません。この課題を解消し、訓練も本番も迷わない体制を構築するため、私たちは訓練も本番も迷わない!発電機・無線機の貸出チェックリスト公開という形で、管理の可視化をご提案します。
防災倉庫の管理が抱える深刻な課題と社会的な背景
自治体や自治会で管理される備蓄品・資器材(物品)は、ボールペンなどの消耗品からコピー機のような高額な備品、そして発電機や無線機といった災害応急対策に必要な資器材まで多岐にわたります。これらの物品の所在や状態を一元的に管理するのが物品管理システム(または備品管理システム)です。
煩雑な手作業管理の限界
従来、物品管理はExcelや紙の管理台帳で行われるのが一般的でした。しかし、備品数が多いと台帳と実態の間にズレが生じ、どこに備品があるか分からなくなるリスクが高まります。特に、発電機や無線機などの資器材は、災害応急対策活動に必要不可欠であり、その管理台帳が煩雑化すると、緊急時に必要なものがすぐに見つからないという致命的な問題につながります 。
迫る期限とローリングストックの必要性
備蓄品の中でも食料や飲料水は、賞味期限の管理が非常に重要です。災害が発生せず期限を迎えた場合、これらを単純に廃棄してしまうと、世界的な課題であるフードロスにつながりかねません。廃棄処分を極力発生させないための有効な取り組みとして、賞味期限前の活用が求められています。
- ローリングストック法: 日ごろから多めに食品等をストックし、日常で消費しながら使った分を買い足していく、家庭で用いられる管理方法です。この考え方は、企業や自治体での管理にも応用できます 。
- 廃棄を未然に防ぐ行動:
- 賞味期限切れ間近の備蓄品を社員や住民に配布し、試食を通じて災害への備えを促す。
- 食品の品質に問題がない賞味期限内の食品をフードバンクへ寄付する。フードバンクへの寄付は、食糧難や貧困に苦しむ人たちの助けとなり、フードロス削減につながります。
これらの活用を計画的に行うためには、備蓄品の種類、数量、購入日、賞味期限、保管場所などを一覧でチェックする体制、すなわち正確な管理台帳の作成と維持が重要になります
災害用資機材の「動く」を保証する管理
災害応急対策活動に不可欠な発電機や無線機などの資器材は、いざという時に「動かない」では意味がありません。
1. メンテナンスと燃料管理の重要性
備品管理システムには、故障を防ぐため、点検時期の管理やメンテナンスの記録を支援する機能があります。特に注意が必要なのが、燃料で稼働する機材です。
- 一体的備蓄の原則: 発動発電機や灯油ストーブなどの燃料で稼働する機材について、燃料(ガソリンやカセットコンロ用ボンベ等)が機材と一体的に備蓄されていない場合、災害時に迅速に稼働できないおそれがあるという指摘があります。
- 訓練後の徹底した状態確認: 資器材が貸し出されたり、訓練で使用されたりした後、次に円滑に使用できるよう、燃料が満タンになっているか、適切に点検されたかを確実に確認することは、必須条件です 。
実際に、地方公共団体の監査事例では、故障した投光器や発電機、電圧低下が懸念されるバッテリーボックスなど、品質・機能の確保が不十分な物品が見受けられた例が報告されています。
2. 物品管理の失敗例
紙やExcelによる管理台帳は、備品数が多い場合、台帳と実態の間にズレが生じ、「どこに備品があるか確認できなくなるリスク」が高まります。監査事例では、現物が確認できない物品がシステムに登録されたまま残っていたり、既に処分されているにもかかわらずシステムから削除されていないなど、管理が不正確になっている例が多く確認されています。
誰でも使える倉庫への進化
1. 倉庫の「整理整頓」と「可視化」の進化
災害発生直後、避難所運営を担うのは、必ずしも専門の職員だけではなく、自主防災組織や自治会などの地域住民です。東京都北区の事例では、実際に避難所を開設した際に住民から「何がどこにあるか分からない」「使いたい物が奥にあって取り出せない」という声が上がり、倉庫の整理状況を抜本的に見直すに至りました。誰もが迅速に対応できる倉庫を実現するためには、以下のノウハウが求められます。
- 倉庫内の導線やスペースの確保。
- 段ボール箱の内容物を把握しやすいようラベル面を外側に向けるなど、整理整頓の専門的なノウハウの導入。
- 配置レイアウトマップを見やすいところに掲示し、誰もが所在を把握できるようにする。
2. デジタル技術の選択肢
物品管理システムは、物品にバーコードやICタグを付けて、所在や状態を一元管理するシステムです。システムは主に2つのタイプに分けられます。
- RFID対応型:電波を介してICタグの情報を非接触で一括読み取りできる技術です。備品の数量が多く、検品・棚卸を効率化したい場合に適していますが、コストが高い傾向にあります。
- QR/バーコード対応型:コードを一つひとつ読み取って管理するシステムです。備品数が比較的少ない場合や、専用端末を使用せず、スマートフォンで手軽に運用したい場合に適しており、導入コストを抑えられるのが特徴です。
3. 地域活動のDX推進と国の支援
近年、少子高齢化や担い手不足といった課題を抱える自治会等の地域コミュニティにおいて、デジタル技術による活動の効率化と負担軽減が強く求められています。総務省は、回覧板の電子化や災害時の安否確認・情報伝達の迅速化を目的とした地域交流アプリの活用を推奨しており、その支援策として、市町村による導入支援や費用補助が有効であるとしています。
- 補助金活用:国は、優良なモデル・サービス(例:自治会業務のデジタル化)を活用した取組に対し、新しい地方経済・生活環境創生交付金(デジタル実装型)などの高補助率の支援策を用意しています。
- 普及チャネル:自治体や地域防災会向けの情報発信は、補助金キーワード連動や冊子広告と組み合わせることが効果的です。また、地域活動の担い手であるNPO等の活動を支援するため、NPO割引の訴求を行うことも重要です 。
すぐに導入できる貸出管理サービス「カシカン」
従来の煩雑な台帳管理や、訓練後の発電機/無線機の所在不明、期限切れのモレといった切実な課題に直面している自治体・地域防災会様に、クラウドサービス「カシカン」をご紹介します 。「カシカン」は貸出管理に特化したクラウドサービスであり、PowerApps(PowerAppsはゼロからの構築が必要となる)のようにゼロから構築するのではなく、導入直後からすぐに運用を開始できます。専任の開発担当者がいない組織や、すぐに使えるシステムを導入したいケースに最適です。カシカンは無料から利用でき、登録できる備品の数にも制限がないため、コストを抑えたい自治会や、まずはスモールスタートで試したい組織にも最適です。
カシカンが解決する防災管理の課題と機能
1. 所在不明・台帳の煩雑さの解消
備蓄品や機材にQRコードを印刷し貼り付ければ、スマートフォンのカメラ機能を利用して、手元の備品から即座に予約手続きに移ることができます。QRコードは一括QR印刷に対応しているため、多数の備品登録にかかる手間を削減できます 。
2. 倉庫別・品目別の可視化
防災倉庫が複数に分かれている場合でも、フォルダ(防災倉庫別)分類が可能です 。また、ハッシュタグ機能を使うことで、物品をジャンル分けして管理でき、登録済みの物品を簡単に検索できます。
3. 機材の稼働チェックと期限管理
発電機などの重要な資器材の返却時には、返却時チェック項目(稼働/燃料/点検)を必須で追加でき 、次に備えた状態を確実に維持します。また、食料品などの期限物には有効期限タグを活用することで、期限が近づいた際に利用者に通知が送られるリマインダー機能によって、入れ替えのモレを防げます 。
4. 訓練・本番でのスムーズな運用
カシカンは誰でも簡単に利用でき、スマートフォンがあれば専用端末なしで操作でき、非接触運用も実現可能です。これにより、防災 倉庫 管理 貸出を効率化し、発災直後の混乱時にも迷わず必要な資機材にアクセスできます。もし備蓄品 管理 システムや発電機 貸出 管理、自治会 備品 管理について課題をお持ちでしたら、まずは無料から使えるカシカンを試してみてはいかがでしょうか。
まとめ
カシカンは、まるで備蓄倉庫の「司令塔」をアプリで持つようなものです。従来の紙の台帳が、災害時に広範囲に広がる情報不足の霧に覆われた地図だとすれば、カシカンは、すべての備品の位置、状態、そして次のアクション(点検、交換、返却)をリアルタイムで示す、高性能なGPSナビゲーションシステムと言えるでしょう。
カシカンのより詳しい機能にご興味がある方はぜひ、カシカンの公式サイトやカシカン使い方ブログをご覧ください。

