はじめに
デモ機や評価機の管理は、営業活動の成功に不可欠な基盤です。 IoT/FA機器を扱うセールスエンジニア(SE)にとって、デモ機の「所在不明」「予約重複」「メンテナンスの抜け漏れ」は、商談機会の損失に直結する大きな課題であり、これらの問題を解決するためには、従来のアナログ管理から脱却し、ライフサイクル全体を見据えたデジタル管理の仕組みを構築することが必須となります。これにより、煩雑な業務負担を大幅に軽減し、本来の活動である提案や顧客との信頼構築に集中できるようになります。 IoTやFA機器のデモは、その製品特性上、単なる貸し借りを超えた「価値実証(PoV)」のフェーズであり、管理の精度がそのまま商談の成約率を左右するからです。
PoCを成功に導く「価値実証(PoV)」の重要性
PoC(概念実証)は、特に新しいテクノロジーや機械設備を扱うB2B営業において、顧客が導入の意思決定をする上で不可欠なステップになりつつあります。デモ機や評価機を顧客に提供する際、単に「想定通りに動くか」を試すだけでなく、「顧客にとって期待通りの価値が得られるか」を数値で評価し、確証を持ってもらう価値実証(PoV: Proof of Value)に焦点を当てることが重要です。
顧客の価値に基づいた目標設定
PoCにおいて設定する目標は、システムの性能スコアといった技術的な指標ではなく、顧客がそのソリューションによって得られる具体的な改善効果にすることが求められます。例えば、単なる稼働率の測定ではなく、「導入前と比較して応答できた架電の割合がどれだけ改善したか」といった、顧客のビジネスに直結する価値に焦点を当てるべきです。
また、PoCを始める際には、顧客社内で問題について合意が得られているか、誰が結果をもとに購入の判断ができるのか、といった前提条件を事前に確認することで、社内での意見の不一致を防ぐことができます。PoCが成功し、顧客側の熱量が最高潮に達したタイミングを逃さず、迅速に購買プロセスへと進めるための戦略的な動きが、営業部門には求められます。
IIoT/FA機器特有の「ライフサイクル管理」の視点
IoTやFA機器は、工場の生産ラインや社会インフラなど、物理的な制御・安全に直結するOT(Operational Technology)領域で使用されるため、一般的なIT機器とは異なる厳格な管理とリスク評価が求められます。
機器を「資産」として長期的に管理する
IIoT機器のセキュリティリスクは、導入時にチェックして終わりではありません。機器の設計、導入、運用、保守、廃棄に至るまで、ライフサイクル全体を通して管理することが不可欠です。機器の更新サイクルがIT機器よりも長い傾向があるため、その間に新たな脆弱性が顕在化する可能性も高く、継続的な対応が欠かせません。
予防保全から予知保全への転換
機器の安定稼働を確保するため、保全方式は、一定期間でメンテナンスを行う「予防保全(TBM)」から、IoTセンサーなどで状態を監視し、故障の兆候を検出して必要な時にメンテナンスを行う「予知保全(CBM)」へと移行が進んでいます。
予知保全を実現するためには、機器の状態や利用状況のデータを継続的に取得し、その資産が「今、どのような状態にあるか」を正確に把握する仕組みが必要です。デモ機であっても、修理や点検の履歴を記録し、常に最良の状態で顧客へ貸し出せるよう状態管理を行うことが、プロモーション効果の最大化につながります。
アナログ管理の限界とデジタル化のメリット
デモ機の貸出頻度が高く、在庫数に限りがある中で、Excelや紙台帳によるアナログな管理を続けることは限界があります。
アナログ管理が招く「三重苦」
従来の管理手法では、主に以下の問題が発生し、商談機会の損失や業務の非効率化を招きます。
- リアルタイム性の欠如: 予約情報と実際の貸出状況にズレが生じ、「予約したのにデモ機がない」といったトラブルが発生しやすいです。
- 属人化と業務負担: 貸出担当者の経験や勘に頼る管理体制になりやすく、担当者の負荷が増大し、引き継ぎも困難になります。
- 返却漏れと紛失リスク: 貸出・返却の記録が不徹底だと、返却遅延への対応が遅れ、最悪の場合、デモ機の紛失や盗難につながります。
デジタル管理で実現する効率化と公平性
これらの課題を解決し、スムーズで公平な貸出運用を実現するためには、貸出管理システムの導入が最も有効な解決策となります。システムを活用することで、貸出担当者への問い合わせを大幅に削減できるだけでなく、データが即時反映されるため、誰でもリアルタイムで在庫状況を確認し、予約・返却の手続きが行えるようになります。
また、デモ機は単体ではなく、関連機器とセットで利用されることが多いため、必要な機器をまとめて予約できる機能があれば、必要な機器が不足していることで実演できない、といった営業上の失敗を防ぐことができます。
カシカン:あなたのデモ機管理をスマートな「資産」に変える
IoT/FA機器のデモ機管理に特有の「精密な個体管理」「リアルタイムな状態把握」「セット品での予約」といったニーズは、簡易なツールでは対応が困難です。そこで、スマホで簡単に運用できる貸出管理システム「カシカン」をご提案します。
QRコードで管理を現場の「当たり前」に
カシカンは、デモ機材にQRコードを印刷して貼り付けることで、スマートフォンでスキャンするだけで、誰でも簡単かつ迅速に貸出・返却の手続きを完了できる仕組みを提供します。これにより、手書きやExcel入力によるヒューマンエラーを防止し、管理業務の効率化を劇的に向上させます。
予約重複、返却忘れ、すべて自動で解決
カシカンには、デモ機管理の現場で起こりがちなトラブルを未然に防ぐ機能が標準搭載されています。
- リアルタイム在庫の可視化: どのデモ機が誰に貸し出されているか、返却予定日はいつかといった利用状況をリアルタイムで確認できます。営業担当者は外出先からもスマホアプリやブラウザを通じて予約が可能です。
- リマインダー機能: 返却予定日の前日や当日に、利用者へ自動で通知が送られます。延滞が発生した際にも即座に通知できるため、返却忘れを組織的に防止し、デモ機の回転率を向上させます。
- 効率的な登録と分類: 登録したい物品が大量にある場合でも、一括登録機能でファイルデータから情報を取り込めるため、導入時の手間を大幅に削減できます。また、ハッシュタグやフォルダ機能を使って、デモ機を種類やジャンル(例えば「IoTセンサーキット」「FAロボットアーム」など)に分けて直感的に整理できます。
まとめ
デモ機の管理が煩雑化すると、その機器が持つ本来の価値を発揮できず、結果的に商談の機会を逃してしまいます。カシカンを導入することで、デモ機が「探す手間のかかる負債」から、「商談を成功に導くための強力な資産」へと変わるのです。無料から利用を開始できるため、まずは小さなチームでのPoC管理から、その手軽さをぜひ体感してみてください。
カシカンのより詳しい機能にご興味がある方はぜひ、カシカンの公式サイトやカシカン使い方ブログをご覧ください。

